周波数をヘルスケア・医療に活用する際、今のところ何かしらのデバイスを身につける必要がある。IoTデバイス技術の発展にともない、そのデバイスは日々、小型・軽量化しているが、MITはそのもう数ステップ先の世界を既に見据えているようだ。
何も身に着けず、ただその空間で眠るだけで睡眠の質や長さなどを可視化できる。MITはそんな世界がもう実現可能であることを証明した。
▶ 参考記事 New AI algorithm monitors sleep with radio waves(MIT News, 2017/08/06)
MITはこれまでも、特定の空間内で人行動した様子を、同じく何もデバイスを身につけさせずに可視化できる方法を実験してきた。
▶ 参考記事 Detecting walking speed with wireless signals(MIT News, 2017/03/01)
今度の実験は、睡眠に関する脳の動きを可視化する実験であったが、もう既に80%の確度で可視化ができるらしい。
このMITの一連の実験は、筋肉や視床下部といった、人間がある行動をとる際に働く部位の周波数を特定し、それと同じ周波数を特定の空間内に流すことで、可視化しているのだろうと予想される。
私たちは目の前のいま発達しているテクノロジーに目がいきがちで、それゆえ、身体を可視化する方法として身につけるIoTデバイスを作ろうとする企業がほとんどだが、そうした動きと一線を画したMITの研究はとても素晴らしく、次は何を可視化してくれるのだろうとワクワクしてくる。
当然、可視化の先には「調整」というキーワードが浮かぶが、MITチームがどこまでを見据えているのかは分からない。おそらくは西洋医学派の医師や製薬会社が喜ばないことを積極的にやるイメージはちょっとしにくいが、ライフ博士の実験のように、MITが撒いた実験の種はいずれ世界のどこかで花となり、疾患を抱える多くの人々に大きく貢献することになるだろう。
※参考記事
本人が何も装着せず、電波の反射波を利用する非侵襲型(当人が意識しない)の睡眠モニタをMITで開発(Tech Crunch Japan, 2017/08/08)
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